【休職半年】仕事を手放して見えた、ADHDの「脳内リソース」はあまりに小さいという現実【変わらない現在地】
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当初、仕事と育児を両立させるために横たわったまま決意したADHDの受診、そして休職を選ばざるを得なくなったのが約半年前のことです。受診や休職に至るまでの当時のことは下記の記事に詳細を書いています。
この記事では、ADHDと診断されてからの約半年間の経過や現状をお伝えします。ADHDという発達障害が日常生活においてどれだけ厄介なものであるかを改めて考えていただければと思います。
せざるを得なかった休職は未だ続く #
休職は、主治医から提案されるほど追い詰められた末の選択でした。そのため、休職すれば生活がうまく回るようになるといった見通しや期待を抱く余裕すらなく、ただそうせざるを得ない状況から始まった半年間でした。いや、「もう大丈夫になれば仕事に戻れるよな」と思って、せいぜい2〜3ヶ月程度で元の生活に徐々に戻していくつもりでした。実際、初診から休職の提案は主治医から受けていたものの、もう少し仕事が片付いてから、、と3週間自分を誤魔化し、ついに休職を決意したというものでした。
しかし、仕事という重荷を一旦脇に置いた今、徐々に生活を戻していくどころか、「仕事がない状態でも、日常生活だけでキャパシティが限界に達している」という現実が浮き彫りになっただけでした。
仕事してない、昼間の育児もないのに #
先述のとおり現在私は休職中ですが、子供2人を保育園に通わせ続けています。保育園継続が可能なのは、国が定める「保育の必要性」に「就労」だけではなく、「疾病・障害」が含まれているためです。本当にありがたいですね。
そのため、子供に朝の支度をさせて登園させると、お迎えの時間までは1人で行動できます。その間に家事などのやるべきことを済ませられるという生活なので、一見全く無理のない生活に見えます。羨ましく思われるかもしれませんが、ADHDの生活は壮絶です。
3人分のシミュレーションをADHD脳で行えるのか? #
育児にはずっと余裕がない。子供がいる朝晩の時間帯は常に「自分+子供2人」の合計3人分の行動を脳内でシミュレートし続けなければなりません。
管理職でディレクターもやってたので仕事では確かに部下数人持って案件やってたのですが、部下は社会人なので大人の脳みそを持っている。指示をあたえれば、大体は自分で行動や判断もできます。仕事というレールもあるうえなので、ある程度成り行きにもでき、常に様子を伺ってる必要もありません。自分の仕事に集中できる時間も確保できます。
でも、育児となると、自分で安全性も保てない・スプーンさえ使えないような子供を2人も見るわけです。イレギュラーの発生もめちゃくちゃある。対応しきれません。(こう考えても保育士さんってめちゃくちゃシゴデキですよね。。)
例えば、食事の用意ひとつをとっても、3人分という適切な量の想定がうまくできず(ワーキングメモリが足りない感覚)、作り置きを活用しようとしても用意だけで1時間近く溶けてしまいます。準備してる間に子供もお腹空いてしまうので、温め終わったものからどんどんお皿に持っていきます。ADHD式コース料理と勝手に名付けています。
でも結果的に、温めたものを割り振ってみると自分の分が足りなくなるとか、温めすぎてしまって大量に余るとか。子供に割り振って余った分を自分にまわすので、あんまり食べられない日も結構あります。逆にお腹いっぱいになるほど食べなくちゃいけない日もたまにある。いい塩梅が苦手です。
食事だけではなく、着衣もつらい。もちろん、この服とこの服の組み合わせはセンスがないとか、そういう次元ではありません。ある程度任せられる部分ももちろん存在しますが、安全に着用できてるかの確認は親の仕事です。クリエイティブ職らしからぬ、すっごい服の組み合わせを子供にも容認してるし、自分の服なんて選ぶ余裕がないので、毎日寝間着の上にアウター羽織るだけです。
朝の実際のタイムスケジュール #
朝は6時半に目覚ましが鳴り、7時頃になって起床します。最近、朝全く起きられなくなりました。先述の通り食事の準備についても手こずり、全員で食べ始める時点で8時近く、日によっては8時をまわります。
その後着替えやおむつ替え、連絡帳を書くと、出発の頃にはもう9時。
さらに、下の子の激しいイヤイヤ期により、自転車やベビーカーを拒否される送迎はそれだけで極限の消耗を強いてきます。健常者の夫が車を出してくれて大人2人がかりのときも、下の子を車に乗せるだけでとても困難なことで、そもそもADHDじゃなくたってこの時期の子供の世話というのはとても大変なのだと思います。なお、衝動性により突然キレだしてしまうのを抑えるために漢方も飲んでいます。
登園時間に間に合わず、子供を送り出す頃にはその日一日の全エネルギーを使い果たして、家に帰るとそのまま寝込んでしまうこともしばしば。
甘い物を食べたい衝動 #
保育園に送った帰りに衝動性のせいかどうしても甘い物が食べたくなってしまうこともあり、スーパーやコンビニに寄って、30分以上かけて何を食べるか考えます。なぜそんなに時間がかかるのかというと、多くの商品のなかからどれにするか選ぶのってすごくワーキングメモリが必要なので、処理速度の遅い自分には時間がかかるのだと思います。値段を比較したり、量を比較したり、、あとはこの商品には自分の嫌いなものが入ってないかとか、自分が好まない味のメーカーではないかの確認とか、そういったところはこだわりが出てしまって選択を邪魔してるのではないかと思います。
そんな手抜き感満載なのに、それでも全然まわらなかったり。
実際のところは、これが私が送っている日常です。
復職はありうるのか? #
物理的な時間の壁「週20時間が捻出できない」 #
復職を目指すにあたって、一つの目安となるのが「仕事に充てるためのまとまった時間を確保すること」です。しかし、今の私には、週に20時間の作業時間を捻出することすら不可能な状況が続いています。
家事そのものへの苦手意識があり、一つひとつの作業に膨大な時間がかかってしまう。さらに、保育園の送り迎えなどの日常的なタスクに手こずっているうちに、気づけば一日は終わっています。やらなければならないことがうまくできないのもそうですが、まずやり始めるまでに時間がかかる、そして、途中途中で集中力も切れるというのはADHDの特性によるところでしょう。
「仕事をしていないのに、なぜ時間がないのか」 そう自問自答することもありますが、ADHDの私にとって、日常生活を維持すること自体が、すでに他の何物も受け入れられないほど高コストな「クエスト」になってしまっているのです。
復職という選択肢は「無」 #
仕事は非常に頭を使う作業です。今の私は、家事と育児という目の前のクエストをクリアするだけで脳内リソースを90%以上使い切ってしまいます。空き容量程度ではとても仕事をこなすことはできません。
もちろん、このクリアというのも、最低ラインでのクリアです。。もっといい感じに家事も育児もこなしたいですが、そもそも理想さえどうやって描けばいいかわからないくらいのポンコツさです。
そのため、現在の私は復職という選択肢を完全に「諦めて」います。 そこには焦りや恐怖といった感情もありません。正確に言えば、今収入がないことや将来どうなってしまうかに危機感を持てるだけのリソースもないのかもしれません。
とにかく、今の自分には「仕事に戻るくらいの大きな脳内リソースは、物理的に用意できない」という動かしがたい事実があるだけです。
定型発達者だとしても、仕事と育児ってどうやって両立させてるのでしょうか?フルタイムで2歳差育児・いつも綺麗なあのママさん、どれだけ努力しているのか・どうしたらその努力ができるのか、、すごく気になります。
ADHDが半年仕事休んで変化するのか? #
私は変わりませんでした。あえて変わった部分あげるなら、自分が「全部をこなす人間にはなれない」がメタ認知できるようになったことでしょうか。
これについて、私は当然のことだと思っています。なぜなら、ADHDとは、生まれながらにある脳の機能的な障害なので、半年仕事を休んでも根本の脳のつくりは変わらないからです。
ただ、当時限界だった私が生活の中で削れるものとしては、「仕事」しかなかったというだけなのです。それを削っただけではどうにもなりませんでした。しかし、仕事だけでも削れた分、なんとか生きてはいけるという状況に近いです。今、生活できないほどしんどいという方は今すぐ専門医に相談してみてください。
私の現状は、ADHDの発達障害をもつ人が日常生活をおくるうえでどれだけの困難を抱えるかを可視化するひとつの事例ではないかと思います。
免責事項 #
本ブログで提供する情報は、運営者である私個人の体験や考察に基づくものであり、医学的なアドバイスや診断を提供するものではありません。
ADHDの症状、診断、治療、薬の服用などに関しては、必ず医療機関を受診し、医師や専門家の指示に従ってください。
本ブログの情報を参考にされる場合は、ご自身の判断と責任において行っていただきますようお願い申し上げます。