【むしろ「続かない」は良い】ADHDが経験した部活動と子どもの部活選びサポート
目次
ADHD当事者にとっては日常生活を送ることに困難が多く、毎日が大冒険のよう。そんな日々の「冒険」をなんとか攻略していこうと始めたのが、この「ADHD攻略法を探してく冒険記」です。
今回は、そんな私の学生時代の大冒険、部活動の経験についてお話ししたいと思います。過去を振り返ると、ADHD特性が少なからず影響していました。その中でも、親の強制力が逆に自分自身も納得できる方向への道標となっていたり、親と私の程よい距離感など、今親の立場となって振り返っても子と接する際の参考になることがありました。また、今の私自身のADHD攻略法になっていった部分にも触れながら、紹介していきます。
続かない、始まってもないばかりの学生時代の部活動 #
私は「継続」や、「始めること」すら大の苦手。20年前、今もそうかもしれませんが部活動はみんなやってることが常識みたいな感じで、始めることが苦手な私が中学校にあがるときに一番嫌だった記憶があります。やっとのことで始めても今度は続かない。部活の存在は私の学生生活にずっと影を落とし続けました。
でも大人になった私は、それで全然良かったじゃんって思います。なぜ、そんな思いに至ったのか、まずはどんな学生時代の「部活動経験」があったのかを振り返っていきます。
やっと選んだ部活で幽霊部員を貫く中学時代 #
中学校に入ると、友達はみんな部活の話で持ちきりで部活に入らないといけないような義務感を感じました。そのネガティブな印象からどの部活にも興味が持てず、どんな部活があるのかもあまり見ませんでした。友達以外にもたまたま話すクラスメイトや違うクラスの子、ひいては誰かのお母さん、習い事の先生、近所の人などの大人まで…あらゆる人間との会話で必ず「部活は何に入るの?」が出てくるので、これは私も中学校で生きていくためには部活に入らねばと、私は音楽が1番得意だったので手っ取り早く吹奏楽部に入部することを考えました。
体験入部に行くと、マウスピースを使って音を出す練習をしました。周りの子たちができるようになっていく中、私は全くできず、この時点でちょっと嫌にはなっていました。そして、親の意向で、学習時間が減るほど活動の多い部活には入れず、そんな親の意向も言い訳にしながらついに吹奏楽部には入部しませんでした。
しかし、高校入試で「帰宅部」だと不利になるという真偽のわからない話を友達から聞きました。そこで、幽霊部員でもいいから部員がほしいという噂のあった美術部と文学部を掛け持ちで選びました。そんな入部希望理由だったもので、もちろん入部後も私はほぼ部活動に顔を出すことのない幽霊部員となりました。調べてみると、「学研の家庭教師」のコラムに記載されているのは、受験時の部活による評価は自治体によるとのこと、私が志望していた都立校のある東京都は部活動を評価の対象としないそうで、私のこのむりやりの入部はあまり意味のないものだったことが判明し、私は中学時代の自分をなんだかすごい迷惑なやつだなと思う現在です。
さて、中学時代の私は部活動がなかったおかげで、勉強に打ち込むことができ…というのを期待されていたものの、結果的にはこっそりと趣味に熱中することができました。大人になってからの話ですが、この趣味が今の仕事に直結するものとなっているため、中学時代に部活に入っていなかったことはあまり後悔はありません。
そんなこんなで全て親の目論見通りとはいかず、私はなかなか自主的に勉強には打ち込まない中学時代でしたが、塾に缶詰にされることで結果的には勉強時間はそこそこにはあったような気もしており、さらに私は無事に名門高校に合格しました。この缶詰状態の塾の話もいつか記事にする予定ですが、私はこの強制力による反動で高校時代は全く勉強しませんでした。
なお、部活と勉強の両立について少し余談ですが、週5+土日どちらかもある運動部に入っていた友人も同じ塾への行き帰りを一緒にしていたので、たとえ好きな部活を選んでも勉強時間が部活の時間とバッティングすることはなかったとは思います。ただ、私が友人と同じ部活を選んでいたとしたら、体力の違いで友人のようにはうまく行かなかったと思います。この友人は車に轢かれて自転車が再起不能なまでに折れ曲がってしまったものの自身はかすり傷程度だったというエピソードを持ち、トライアスロン選手を目指しながら上位校に入学した超人なので、体力的・能力的な話としては一般人の参考にはならなそうですが。まあ時間軸的なこととしては両立可能です。
また、振り返って幸いと感じるのは、私は吹奏楽部に入りたかったのもそんなに熱意のある感情ではなかった、むしろちょっと部活嫌だなと感じていたために、親に入部を反対されても反発がなかったことです。めちゃくちゃ入りたい部活があれば親との関係も変わっていたと思うので、この「子供の熱意」は親の立場となった現在ではよく観察しなければならない点だと思っています。もし、熱量があるのならどういった折り合いをつけるのかを考え、勉強させる工夫を他の視点から取り入れ、勉強に対しては質を重視するなど柔軟な対応が必要と考えます。部活などにどこまで干渉すべきか、勉強の量をとるか質をとるか、いずれも個人に合った対応を適用しなければなりません。
親が特に口を出すことなく吹奏楽部にもし入っていたら、と考えても、なんとなく私の傾向から、活動が多い故にすぐ逃げ出したくなっただろうし、最初は熱中できたとしてもしばらくすればつまんないと思い始めて行かなくなることが容易に想像できます。ま、もしかしたら音楽家になってた未来もあるかもしれませんが、私は今の自分で満足してます。
つまみ食い状態で中途半端が続く高校時代 #
高校に入ると親は全く干渉して来ず、自由に部活を選ぶことができたため、吹奏楽部とテニス部の見学に行きました。なぜ急にテニスが出てきたかというと、中学の選択授業で面白いと感じたからなのですが、体験入部した日がちょうど筋トレの日だったので、テニスの面白さに全く触れられず地味で嫌なイメージがついてしまい(テニスやってる人には大変申し訳ないイメージですが)、結局入部することはありませんでした。
私は結局、体験入部で無難だった吹奏楽部に入部しました。バンドがかっこいいなと思っていて、昔からドラムに興味があったので、パートはパーカッション(打楽器)を選びました。バンドなら軽音学部を選べと言いたいところですが、軽音学部は部活というよりバンドごとの活動だったために活動曜日も場所も決まっておらず、ウェルカムな雰囲気がまったくない閉鎖的な部活だったので見学も体験入部もどうやってやればいいのかすらよくわかりませんでした。そこでがんばるくらいなら吹奏楽部で楽器をやっておくのが手っ取り早いと、楽なほうへと流れてしまうのも私の傾向です。
さて、吹奏楽部に入部したものの、始めてみるとなんだかつまらないと感じるようになりました。吹奏楽部は一部のパートを除いて廊下での練習だった為、暗くて狭いところで大きな音を出す(聞こえる)のもしんどかったです。また、同じ時期に体育祭で披露する有志のダンスに参加し始め、その練習を言い訳に部活には顔を出さなくなっていきました。元々体を動かすのが好きでしたが、このダンス練習がとても楽しくて、せっかくの高校生活、もっと広いところに出て思い切り体を動かすことがしたいと思い始めてしまい、結局1ヶ月ほどで吹奏楽部を辞めてしまいました。
その後、すぐに友人から誘われた球技系の運動部に入部しました。初心者だったので、初めは練習すればするほど上達が目に見えて面白かったです。遅れて入部したため、マンツーマンで教えてくれるのも、その日その日の集中度に波が出てしまう発達障害の自分に合っていたんだと思います。
しかし、しばらくすると、だんだん伸び悩む時期が来ました。この時期には他の初心者たちに追いついていたため、集団での練習に参加していました。経験者との実力差も現実に見えてしまい、あれほど面白かった部活が急にしんどく感じられるようになりました。辞めたい辞めたいと思っていたところ、体に痛みが出てきたため、病院に行くと一種のスポーツ障害だと診断されました。その痛みを理由に、2年生になってからだんだんと部活に行かなくなってしまいました。痛みは数ヶ月で良くなったので、復帰することもできたのですが、結局最後まで退部届を出すこともなければ部活にも行かないという、なあなあな状態で終わってしまいました。
完璧主義と適当さの凹凸が目立つ大学時代 #
発達障害あるあるかもしれませんが、私には完璧主義なところがあり、運動部でも文化部でも経験したことのないところに入れば経験者との実力差からまた嫌になってしまうかもしれないと思い、大学ではやはり幼少期からやっていたピアノや歌を生かそうと音楽系のサークルに入ろうと思いました。
学部の友達が入ると言った音楽サークルに、まともに見学もせず「じゃあ私も!」と入ったのですが、やりたい音楽を一緒にできるメンバーが見つかりませんでした。きちんと見学をすれば自分にあったサークルや部活に巡り会えたのかもしれませんが、「順序だてて活動に取り組むことができない」という特性がこの計画性の無さに出てしまったように思います。
結局、一度も活動せずにフェードアウトしました。
ADHDの特性を知って納得した「続けられない」理由 #
「飽きっぽい」「三日坊主」ずっとそう思って生きてきました。もちろん、粘り強く継続できることは素晴らしいことだと思いますが、ADHDの私にとって、それはとてもハードルが高いことです。でも、それは悪いことではありません。大人になってもいまだに飽きっぽい私ですが、そんな自分の個性を今は活かしています。
ADHDの特性として、「活動に集中できない」や「気が散りやすい」があります。私は興味があることには猛烈な集中力(過集中)を発揮しますが、新しい興味を見つけたり、上達が停滞したりすると、急激に嫌になります。また、「順序だてて活動に取り組むことができない」といった特性も先延ばし癖を生み出し、退部届を出さないままなあなあにする行動に繋がっていたのでしょう。このあたりは迷惑をかけてしまったものの、こういった経験をして振り返ることで、社会人になってからは、とりあえず届け(書類)を出してからいろいろ考え始めるという手順を踏めるように段々なっていきました。いくら失敗であっても私にとっては「昔の失敗」であり、イジられるおいしいネタであると同時に、ひとつの攻略法につながっています。余談になりますが、私のようにADHD特性をイジられてたほうが楽な人もいる等、考え方を柔軟にすると生き方の視野がひろがります。いずれにしても専門医によるADHDという正式な診断は様々な選択や判断を助けてくれるはずで、自身の人生の納得感(=自己肯定感につながるもの)にもなり得ます。
「続けられない」のは「いろいろ試せる」機会 #
部活とかって継続が正義みたいな雰囲気もありますが、辞めちゃうという考え方は全然前向きにもできるし、むしろ、私はもっといろんな部活やっておけば良かったくらいに思っています。
実は、私の弟も、私と同じく短期間で部活動を辞める傾向がありました。でも、彼はたくさんの種類のスポーツを経験していました。当時の私は、そんな弟を見て「それもいいな」と感じていました。たくさんのスポーツや文化を経験したり、たくさんのコミュニティに触れることは、将来の選択の参考になるからです。たとえ長続きしなくても、こういうものが自分に合ってたという自分への理解が増えれば、同じようなものを選べば向いているかもしれないという様々な選択の助けになります。それは直接の趣味だけにはとどまりません。例えば、職場選びで業種や社員数を見ただけでも、あのときのあれと同じような雰囲気かもしれないというヒントにつながる可能性があります。
「部活を辞めること=悪」ではありません。むしろ、それは「自分にとって何が本当に楽しいのか」「どんな環境なら力を発揮できるのか」を探すための、大切なステップなのです。
自身がADHDなママが考える、子どもの部活動選びサポート #
現在、3歳と1歳の子どもを育てる私にとって、将来の子どもの部活動選びは現実的な課題です。もし、私の子どもにADHDの傾向が見られたり、私と同じように「飽きっぽい」性質を持っていたりした場合、親としてどうサポートすべきか、私の経験を踏まえて考えてみました。
1. 「義務感」「継続」の呪縛から解き放つ #
まず最も大切なのは、「部活は必ず3年間続けなければならない」という固定観念を捨てることです。子どもが途中で「辞めたい」と言い出したら、頭ごなしに否定せず、その気持ちに寄り添い、耳を傾ける勇気を持ちます。子どもの心の健康や、新しい挑戦への意欲を尊重することが第一です。中学時代の私が吹奏楽部入部を親のせいにして辞めたように、時には、やらないという選択肢もあるという提示も検討します。また、部活に所属しないことはネガティブではなく、部活動以外の自分の活動を増やすチャンスという考え方も示唆してもいいかもしれません。また、もしどうしても続けさせたいのであれば、「次の大会まではやってみよう」「〇〇をマスターするまでやろう」など、短期的な目標を設定することで、モチベーションを維持しやすくなります。私の部活は結局ほぼ始まってすらなかったので今回の記事の中ではこの辺りの話はないのですが、これは今後記事にする習い事にて有効だった方法なのでぜひ参考にしてみてほしいです。今回の記事でも私がずっと頼りにし続けた「音楽分野での自信」は、私の親が実際にやってたこの「短期目標設定」という秘技によって身についたものです。ただ、これは多用すると子供との信頼関係を失う可能性があり、また、成長した子には干渉しすぎないことも大切です。
2. 「探索」の機会を積極的に与える #
私たち兄弟のように「飽きっぽい」特性を持つ子どもにとって、多様な経験をすることは非常に重要でした。
- 体験入部の活用: 複数の部活動の体験入部期間を有効活用し、様々な活動に触れさせてあげること。
- 家庭での代替活動: もし経済的な理由で頻繁な転部が難しい場合は、地域のスポーツ施設の利用や家庭でできる趣味(水泳、プログラミング、アート、DIYなど)を見つけることも良い「探索」の機会になります。これは集団ではなく自分のペースでできるというメリットもあるため、むしろ部活より有効な手段となる場合もあります。
3. 経済的なサポートと「見極め」のバランス #
親としては、部活に必要な道具や活動費など、経済的な負担も無視できません。
- 子どもが「辞めたい」と言い出した時、安易に次へと飛びつかせるのではなく、なぜ辞めたいのか、次に何をしたいのかをじっくり話し合う時間を持つことが大切です。これは私の経験からですが、じっくり話し合うと言っても、膝を突き合わせるとどうしても構えてしまうので、散歩しながら、ご飯を食べながら、作業をしながら等、一緒に何かをしながら話すのがおすすめです。特に、ドライブなんかは反抗期であっても意外と乗り気になるかもしれません。
- 本当に興味があるのか、一時的な飽きなのかを見極めるため、日常的に会話をすることが、無駄な出費を抑えることにも繋がります。
- 中古品を活用したり、先輩から譲ってもらったりするなど、工夫次第で費用を抑える方法もあります。
4. 中高生ならではの自律を見極める #
もし子どもが部活を辞める決断をしたとしても、それを「失敗」と捉えさせず、「よく頑張ったね」「新しいことに挑戦する勇気が素晴らしいね」とポジティブな言葉をかけることで、子どもの自己肯定感を守り、未来への意欲を育むことができます…っていうよくあるアドバイスは個人によります。むしろ、中高生くらいであれば、発達障害であろうとこういった言葉をかけてもらうより、放っておいて欲しい場合もあります。障害がある子を持つとどうしても、親の私がサポートしないと…!みたいになりがちですが、子どもにはその子自身の気持ちがあって、それは健常児と同じように親の気持ちとは別のものであることを理解しましょう。中高生時代の私、いや小学校高学年くらいには放っておいてほしいなと思うことも多くて、私の両親はそのあたりを察した子離れ・距離感の取り方が非常に上手だったと感じます。
まとめ—今になって「大事だった」と思える子供時代の「探索」 #
私の部活動での経験は、中途半端な経験ばかりです。でも、ADHDと診断された今、それは私の特性ゆえの「冒険」上の「探索」だったのだと気付きました。そして、この経験は、将来子どもたちが部活動を選ぶ際に役立つ攻略法になるだけでなく、私自身の現在のさまざまな選択を助ける実際の攻略法になっています。
様々な体験を通して、趣味だって広がっていくものです。
もし今、子どもの部活動について悩んでいる親御さんがいたら、今回の私の話が少しでもあなたやお子さんの「大冒険」のヒントになれば嬉しいです。
そして、今冒険の真っ只中…部活を頑張っているあなたが、もしちょっと休憩したくなったときには、この記事のことを思い出してみてください。どんな経験もセーブデータとしてあなたの中にきちんと残ります。今、後悔していることだって、きちんと心に落とし込むことでプラスの経験値に書き換えることができることも忘れないでくださいね。