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なんと、子供じゃなくて私自身がADHDと診断されました。
荒波に揉まれる毎日は、まるで冒険。

本ブログで提供する情報は、運営者である私個人の体験や考察に基づくものであり、医学的なアドバイスや診断を提供するものではありません。 ADHDの症状、診断、治療、薬の服用などに関しては、必ず医療機関を受診し、医師や専門家の指示に従ってください。本ブログの情報を参考にされる場合は、ご自身の判断と責任において行っていただきますようお願い申し上げます。

  1. ADHDの暮らし/

実体験から考察!ADHDの遅刻メカニズム

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「また遅刻だ…」。この言葉を、あなたは何度繰り返してきましたか?ADHDの当事者にとって、遅刻は、時にどうしようもなく、そして深く自己嫌悪に陥る原因となる共通の困りごとです。

私も、子どもの頃から現在進行形で、私の冒険は常に「時間」との戦闘モード、そして負け続けています。むしろ、時間の感覚がわからず、戦えてすらいない感覚です。これは、単なるだらしなさややる気の問題ではありません。ADHDの複雑な特性が、私たちの時間感覚や行動に深く影響しているからです。

この記事では、私自身の遅刻経験を3つのパターンに分けて紐解きます。ADHDの特性が時間管理にどう絡み合い、そしてライフステージや環境の変化によってそれがどう現れるのかを具体的に掘り下げていきます。私の「遅刻メカニズム」を解き明かすことで、あなた自身が攻略法を見つける冒険に出かけるきっかけになれば幸いです。

私の場合の遅刻メカニズム #

私がなぜ遅刻を繰り返してきたのか、実際のエピソードを振り返りながら具体的に探っていきます。

子どもの頃:起きられなくて遅刻 #

私が子どもの頃、特に中学〜高校の頃は、学校の朝会に間に合わせるのが本当に大変でした。小学校でも遅刻はありましたが、低学年の頃は特に親にほとんどの準備をやってもらっていたので、徐々に親の介入が減ることで遅刻が増えていった感じです。高校生になると毎日のように担任に怒られていたような記憶があります。

この時期の主な遅刻の原因は、「朝起きられないこと」にありました。目覚ましが鳴っても、私の体は鉛のように重く、布団から出られない日々が続きました。目覚ましを止めては二度寝、三度寝をしてしまい、気づけば登校時間ギリギリか、時には完全に遅刻している、という状態でした。

当時、母から「起立性調節障害の可能性があるんじゃないか」と指摘されたことがありました。実際に病院で診断を受けたわけではありませんが、ADHDの特性以外に、身体的な「起きにくさ」という別の要因も重なっていたのかもしれません。

そして、朝のバタバタは起きられないことだけではなく、すでにADHDの他の特性も、遅刻に拍車をかけていました。具体的には、次のような困りごとがありました。基本的には不注意が原因のように思えます。

  • 忘れ物を取りに帰る
  • 前日には全く意識していなかった宿題を朝になって急に思い出す
  • 前日きちんと持ち物を準備したつもりでも、朝になって「あれ、これも必要だった!」と思い出して準備し直す

母は朝の支度を手伝わなくなってからの時期も、私が遅刻しないようにと、逐一時刻を教えてくれていました。しかし、当時の私はその時間感覚があまりわかりませんでした。時刻と「ご飯を食べる」「着替える」「家を出る」といった具体的な行動がセットで示されないと、時刻が何を示しているのか理解できませんでした。

固定時間勤務時代:起きられるのに遅刻 #

大人になり、会社員として働き始めてからも、私の遅刻は続きました。子どもの頃とは異なり、朝はわりとすっきり起きられるんですが、相変わらずADHDの特性に邪魔されていました。

当時の私は、次のような状況で遅刻することが頻繁にありました。

  • 家を出る準備はほぼ終わっているのに、直前になって急に別のことを始めてしまう
    • 例えば、いきなりゲームを始めたり、ちょっと休んでから行くかと横になる。気付けばすでに仕事が始まっている時間ということもありました。
    • 不注意と衝動性どちらも影響していそう。
  • のんびりしてしまう
    • ごはんを食べるのも、メイクをするのも、一つひとつに時間がかかります。
    • 急がなければならないという意識ができないので、不注意ではないかと。
  • 次に何をすればいいのかわからない
    • 毎日やっていることなのに朝起きたら最初に何をするか、ごはんを食べたら何をするか、といちいち悩みます。
    • 段取りができない不注意が原因でしょう。
  • 忘れ物
    • 家を出ようと玄関に行ったのに、またリビングに戻って窓を閉めたか確認する、お弁当を取りに行くなど何往復もする。ここから探し物を始める場合も。
    • 家を出てからもお財布や携帯を忘れたとかで家に戻り、ひどいと駅に着いてようやくお金も電子マネーもないことに気付いて改札を通れないとか。家戻ってきて何しに戻ったかわからなくなることもあるので、そうするともう永遠に会社行けません。
    • 鍵閉め忘れたかわかんなくなって家戻るとか。
    • 不注意が原因と思われます。
  • 遅刻に気がつかない
    • 家にいると電車の出発時刻を過ぎてようやく「あ、乗り遅れた」と認識する。
    • 電車に乗れた日も、会社の始業時間を過ぎて初めて「ああ、完全に遅刻だ」と理解する。
    • 会社への遅刻連絡も、実際に遅刻が確定してからとなる。
    • 時間感覚のズレと、先の見通しができないことが関係していそうなのでこれも不注意に思えます。

遅刻したと認識できるまでは、それほど焦りが出てこないものの、遅刻自体はしたくないと思っていました。実際に遅刻して仕事をしていると、一日中、周囲の目が気になって仕方がありませんでした。「また遅刻したと思われているだろうな」「だらしない人間だと思われているだろうな」といった思いが頭の中を駆け巡り、どんどん会社に行くこと自体が嫌になっていきました。精神的なプレッシャーは、学生時代とは比較にならないほど大きかったです。

フレックス勤務時代:遅刻として現れていた問題が別の形に変化 #

その後、私は転職してフレックスタイム制が導入された企業への入社を決めました。多くのADHD当事者にとって、この制度は「遅刻問題の解決策になるのでは」と期待されているのではないでしょうか。私自身もそう考えていました。

フレックスタイム制におけるADHD当事者へのメリット #

出社時刻が厳密に決められているわけではないため、何時に業務を開始しても、会社から「遅刻」とみなされることはありません。つまり、遅刻しなくなるのではなく、単純に「遅刻という概念がない環境に身を置ける」ようになるのです。

この点においては、身支度や朝食に時間がかかっても、何か別のことを始めてしまっても、それが「遅刻」というルール違反に繋がるわけではないので、私も精神的なプレッシャーが大きく軽減されたと感じました。

また、退社時刻も自由なので過集中になったときに無理に切り上げなくても大丈夫になります。

フレックスタイム制におけるADHD当事者へのリスクと対策 #

フレックスタイム制は「出勤時刻が自由」なだけで、月の総勤務時間を満たす義務は当然あります。出勤時刻を遅らせれば、その分退社時刻を遅らせるか、別の日に長く働くことで帳尻を合わせます。しかし、1日は24時間と決まっていて、それが月あたり30日程度しかなく、その中で調整をおこなうのです。これには見通しが立てられないADHDにとって、月の終わりに差し掛かって初めて総勤務時間が大幅に不足していることに気づく、というリスクが発生することも考えられます。

対策としては、エクセルやスプレッドシートで自分のフォーマットを作るなど時間の見える化をすることでADHDでも総勤務時間を管理しやすくなります。出勤時刻と退勤時刻を入力することで自動的に残日数と残時間が出てくるようなフォーマットにします。さらに、残時間を残日数で割ることによって、今日1日どのくらいの時間働けば総勤務時間を達成できるかということが目でわかるようになるのです。

また、退社時刻が遅くなるリスクも考えられます。これに対しては毎日決まった時間にアラームが鳴るように設定し、必ずパソコンを閉じてください。また、先ほど提案したエクセルをここにも活用できます。その日の退社時刻のセルに適当な時刻を入力してみれば、1日あたりの平均の勤務時間がどう変化するかを目で確認できます。

仕事以外の制約がある場合にはADHD当事者をさらに苦しめる場合も #

加えて、私には子育てという仕事以外の制約がありました。私は転職当時にすでに育児をしていたので、実際仕事に取り掛かることのできる1日あたりの時間は短く、出勤時刻が遅れるとその日のうちにカバーすることが不可能でした。さらに子供が体調不良になると数日間仕事をすることができませんでした。締め日の頃に子供の体調不良が起きると、そのうちカバーしようとした当てがなくなるのです。これが、私にとっての新たな課題となりました。「遅刻」という形でのペナルティはなくなったものの、勤務時間不足という形で、依然として”時間の壁”に直面し続けたのです。

つまり、私にとってフレックスタイム制は、直接的な「遅刻」という概念からは解放してくれましたが、困難そのものを解決するものではありませんでした。 むしろ、「いつ出社してもいい」という自由度が、かえって自己管理の難しさを浮き彫りにしていたし、プレッシャーにもなりました。勤務時間不足は、結局のところ、遅刻と同じくらい、あるいはそれ以上に大きな問題でした。

ADHDの遅刻対策を考えるヒント #

私のこれまでの遅刻経験は、ADHDの特性がどのように時間管理に影響するかを痛感させられました。しかし、これらの経験から得られた教訓は、私だけでなく、他のADHD当事者の方々が自身の遅刻問題と向き合う上でのヒントになるはずです。

1. 自身の遅刻パターンを客観的に分析することの重要性 #

まず最も大切なのは、自分がなぜ遅刻しやすいのかを具体的に理解することです。私の場合、子どもの頃は「朝起きられない」が主な原因で、さらに「不注意」もありました。固定時間勤務時代には「不注意」が主な原因でしたが、「衝動性」も関係していたように思えます。さらにフレックスタイム制では、工夫もあってADHDによる困難は解消されていたように思えますが、育児による制約が「遅刻」とは別の形をした”時間の壁”をつくりました。遅刻の原因がADHDだけでない場合は注意が必要です。

このように、自分の遅刻が:

  • 目覚めが悪い(ADHD以外の要因の可能性も)
  • 出発直前になって別のことを始めてしまう
  • のんびりしてしまう
  • 次に何をすればいいのかわからない
  • 忘れ物
  • 遅刻に気がつかない
  • 仕事以外の時間の制約がある(ADHD以外の要因)

といった形で、具体的な特性と行動を紐付けて分析することで、漠然とした「遅刻してしまう」という悩みが、より具体的な対策へと繋がりやすくなります。

2. 環境要因の重要性:特性に合った環境を選ぶ(あるいは調整する) #

私の経験から強く感じるのは、環境が遅刻問題に与える影響の大きさです。フレックスタイム制は、ADHDによる遅刻をなくす一助になりそうです。環境を変えるには、職場や契約形態を変更するといった難しい側面もありますが、時間管理能力に関係なく実行できるはずです。環境調整のヒントとしては、次のような例が挙げられます。

  • フレックスタイム制
  • 裁量労働制
  • リモートワーク
  • フリーランス
  • パートタイム
  • 時短勤務

3. 具体的な対策例:実例から考える #

自身の遅刻パターンを理解した上で、具体的な対策を考えてみましょう。

  • 目覚めが悪い
    • 目覚まし時計を複数設置し、手が届かない場所に置く。
    • 光目覚まし時計や、振動で起きるアラームなどを試す。
    • カーテンを開ける
  • 出発直前になって別のことを始めてしまう
    • 出かける直前の「つい」を防ぐ環境づくり。 誘惑になるものを視界に入れない、手の届く場所に置かない。
  • のんびりしてしまう
    • タスクにかかる時間を細かく見積もり、記録する。 実際に計ってみることで、リアルな時間感覚を養う。
    • タイマーやアラームを多用する。 「あと〇分で着替えを終える」「あと〇分で家を出る」など、具体的な行動の節目で鳴らす。
    • 逆算思考を意識する。 目的地到着時刻から逆算し、必要な出発時刻を決める練習をする。
  • 次に何をすればいいのかわからない
    • チェックリストを活用する。 出かける前の準備や、朝のルーティンをリスト化し、一つずつ確認する。
  • 忘れ物
    • 毎日同じバッグを使う。
    • 帰宅後に着替える際はポケットの中身を確認する。
    • チェックリストを活用する
  • 遅刻に気がつかない
    • 朝のスケジュールを書き出して、出発○分前というアラームを設定
  • 仕事以外の時間の制約がある(育児の場合)
    • 身近な人やシッターなどのサービスに頼れないか検討

遅刻は、単なる「だらしなさ」ではなく、ADHDという特性によるものです。自分を責めるのではなく、まずは自分のパターンを理解し、それに合った対策を一つずつ試していくことが重要です。完璧を目指すのではなく、少しでも困りごとが減るよう、継続的に工夫を重ねていくことが、ADHDと上手に付き合いながら社会生活を送るための鍵となるでしょう。

自分だけの「時間攻略法」を探す #

私のこれまでの遅刻体験は、ADHDの不注意や衝動の特性が時間管理にどれほど影響するかを痛感させられるものでした。そして、この経験を通して痛感するのは、ADHDの遅刻は、決して単なる「だらしなさ」や「やる気の問題」ではないということです。脳の特性や、身体的、そして環境的な要因が複雑に絡み合って生まれるので、私たちが遅刻してしまうのも当然と言ってもいいかもしれません。しかし、この要因を特定すれば、工夫によって改善する可能性も示してくれます。

この「遅刻メカニズム」を攻略する旅の第一歩は、なによりも自己理解にあります。私が経験したそれぞれの遅刻パターンには、不注意、衝動性といったADHDの特性が深く関わっており、また、ADHD以外の原因も関わるなど、複雑なものでした。このように、私1人を例にあげてもいくつかの遅刻パターンがあり、ADHDがいかに多様で複雑であるかがわかります。ADHDとの付き合い方は人それぞれ、十人十色です。私にとっての「解決策」が、あなたにとっての最適解とは限りません。

しかし、自分自身の遅刻がどの特性に起因しているのか、どんな状況で起こりやすいのかを客観的に分析することは、自分に合った対策を見つけるための土台となります。

時間は、ADHDの当事者にとって、非常に手強い相手です。しかし、特性を理解し、環境を調整し、具体的な対策を試していくことで、その関係性はきっと変えられます。

私の”ADHD攻略法”を探す冒険は道半ばです。 ADHDと共に生きる私たちには、それぞれに合った”攻略法”が必ずあるはずです。焦らず、諦めず、自分なりのペースでその方法を探し、それを楽しむことができるとするならば、あなたの冒険もきっと豊かな旅になるでしょう。